僕にキャリアにおけるMBAの位置付け
ビジネススクールに合格して色々な人と話しましたが、進学の同期は結構様々です。
社費の人々の場合は「卒業後会社に戻ってバリバリ上を目指す」人、「出世にはあまり影響せず、福利厚生の一環」という人、「実は転職したい」人、などなど。
私費生は一般にキャリアチェンジを目指してMBAを取得するわけだけど、これまた「王道のコンサルや外資金融に進みたい人」もいれば起業や海外就職を目指す人もいます。(こちらは少数派ですが)
僕にとっては、「なぜMBAバット(武器)が欲しいのか」とツイッターで質問された時に答えた以下のツイートがすべてだな、と思っています。
バットじゃないんすよ。羽根なんすよ。 https://t.co/KS3T09QO2v
— トミオ (@tomyuo) January 22, 2017
今の人生の延長であれば地を這っていくしかない自分に、飛べる可能性を与えてくれるもの、それがMBAだと。無論、翼が脆かったり体力・筋力がなかったり、風に煽られたりしたら落ちて大怪我をするわけですが、それでも、丸腰の状態に比べれば「飛べる可能性」と「崖を蹴るための勇気」を与えてくれるだろうと。
抽象的なので、僕自身の境遇を引っ張ってみたいと思います。
僕の今の仕事は、アメリカに本社があるソフトウェア企業の、日本市場担当のセールスです。外資の営業は、成績が悪いとクビになるリスクはあるものの基本的にそこそこ高給ですし、退職金はないもののストックオプション・RSU(現物株交付)、ESPP(自社株をお値打ちに購入)などなどで給料以外にも結構実入りがあります。僕が貯金0の状態で日本に帰ってきて、5年間で1,000万くらいの貯金を作れたのもそれに助けられたところが大きいです。
キャリアの観点から言うと、外資企業の日本の営業というのは「ローカル市場のスペシャリスト」です。日本語のネイティブで、日本の商習慣や日本のお客さんの考え方を熟知しており、この市場でパフォーマンスを出すことが求められます。自然「日本で成果を出したから次はシンガポール担当のセールスになりたい」みたいな異動は滅多に通りません。(英語がネイティブレベルだと、稀に通る人もいます)
ローカル人材である外資営業が、ジュニアセールス→シニアセールス→セールスマネジャー→セールスディレクターとして上っていくと、通常はカントリーマネジャーにたどり着きそこがラストです。年収は数千万〜場合によって億に届くと聞きますが、「ローカル人材」の呪縛からは逃れ得ません。
僕は、今後数十年のキャリアをすべて日本で過ごすと思うと堪えられなかった。
かといって、日本市場のスペシャリストとしてローカルスキルを身につけてしまった僕が、外国へ行って営業として雇ってもらえるとは考えられませんし、営業以外に特に得意分野があるわけでもありません。
お金を持ってどこかの国へ行って起業する、という手段はあることはありますが、2人の子供を持つお父さんがやるにはリスクが大きすぎる。
と、ここでMBAの出番です。
MBAは「トップスクールでMBAを取得することで最悪起業や海外就職ができなかった時の再就職に保険をかけつつ、ビジネススクールで学ぶ内容やそこで出会う人々、また地理的に日本国外であるということから海外起業・海外就職の手段を探る」というのにうってつけなわけです。
たぶん根っからの起業家はビジネススクールなんて行かずに勝手に起業するんだと思いますが、僕みたいにちょっと勉強のできる気の小さな人間にはちょうどいい手段でした。
だらだら書きましたが、とりあえずそんな感じ。
MBAというとみんなキャリアアップしにいくようなイメージがあるかもしれませんが、僕みたいな「やりたくないことはたくさんあるが、やりたいことは不明確」な人が行くような例もあるということで、参考になりましたら幸いです。