辺境系キャリアのレシピ 〜新卒即無職→海外就職→スペインMBA→?〜

市川慶です。3児の父。IE Business School MBA。外資ITセールスという名の傭兵稼業10年目。日本の20代30代の年収を倍増させるべく、ルーキー傭兵のリクルーティングと練兵をライフワークにしています。気軽にご相談どうぞ。

MBA取得後、起業に見切りをつけて会社員に戻ることにした話(主に就職活動の話)

トミオです。約5ヶ月ぶりのブログエントリーになりましたが、皆さんお元気でしたでしょうか。

 

今回は「2,000万円かけてMBA取りにいった後に起業を試みて失敗しても、意外と死なないよ」というお話です。起業を諦めることにした経緯と、そんでどんな風に就活したかと、どんな会社に就職することにしたかの話。特に、今からMBAを取りにいく人の参考になればと思って書いています。

 

なお、僕はこの半年間の収入が200万円くらい(そこから経費自腹)だったんですが、その間に第三子を授かりました。3ヶ月後の5月に誕生予定です。笑ってくれ。そしてよかったら祝福してくれ。

 

起業(の2歩目くらいで)の失敗と資金難

今これを書いてるのが2020年2月半ばなんですが、IE Business SchoolでMBAを取得して2019年7月にスペインから帰国してから、色々ありました。渾身のビジネスアイデアを持ち帰ってきたつもりが、いざ検証を進めてみたら問題だらけだということがわかったり。そのままのアイデアで資金調達はきつそうだということでピボット方法を考えながら、前職時代のお客さんから仕事をもらって食いつないだり。友人が立ち上げた日本酒ベンチャーの営業を手伝ったり一応法人登記してるから株式会社の社長なんだけど、やってることは完全に個人事業主だなって気づいたり。

 

そうこうしてる間に、元々少なかった手元キャッシュが完全に尽きそうになり「これはあかんな」とやっとこさ悟り。事業を継続するための金がどうこう、という話ではなく、社員を1人も雇わなくても自分と家族が食っていけないっていう。

 

細々と自分の会社を続ける中で思ったのは、こんなことでした。

  • 今の延長の仕事で子供3人食わせてくのは、ちょっと無理やな
  • 調達して自分のプロダクトで勝負するのでなければ、会社やる意味ないのでは
  • っていうか、外資エンタープライズソフトウェア営業の仕事、楽しかったな…

そんなわけで、いよいよ行き詰まりを感じた2019年12月。腹を括り、サラリーマンに戻るべく就職活動を始めました。

 

そういえば、僕のキャリアってどんなだったっけ

ここ最近はMBAやら起業やらのことばかり考えてたので忘れてましたが、僕って何してきたんだったっけと振り返ってみました。

 

シンガポールで1年半、日本で5年弱、USベースのソフトウェア企業のBtoB営業を経験し、その後1年半かけてスペインでMBAを取得して帰国した36歳男性。既婚。5歳と3歳の子供あり。

営業時代は5年連続で年間ノルマ達成、APAC(アジア太平洋地域)トップセールス受賞2回とまあまあ実績を残しているものの、ビジネススクール卒業時は起業する気満々だったので一切就活しておらず。
(さらに詳しい情報はこちらの記事内の「来歴」のところか LinkedInをご覧ください)

 

そんな状態からの、就職活動開始でした。

 

就職活動タイムライン

エージェントへの最初のコンタクトから1ヶ月半、最初の面接から1ヶ月弱での決着になりました。起こったことを順番に並べるとこんな感じ。

2019年

  • 7/24 MBA & Master in Business Analytics and Big Dataを取得し日本帰国
  • 12/24 以前LinkedInで連絡してきてたエージェントに片っ端から返信
  • 12/27(年内最終営業日) 1社目のエージェントと面会

2020年

  • 1/4-15 ジャカルタ出張のため日本不在→帰国後即、熱を出して寝込む
  • 1/17 発熱中ながら1社目の面接(シンガポール在住のインド人とZoomで面接)
  • 1/20〜 ひたすらエージェント&企業と面会を重ねる
  • 1/30 1社目オファーレター受領
  • 2/15 5社目オファーレター受領&サイン(就活終了)

 

就職活動開始時に考えたことと戦術

思い返すと、最後に「就職活動」をしたのはシンガポールに住んでいた27歳の頃でした。なんと9年前。そのため、就活に関する情報がまったくない。自分の現在の市場価値もわからなければ、市場にどういうオポチュニティーがあるのかもわからない。

 

なので、こんなアプローチでやってみることにしました。

  1. とりあえずエージェントと会いまくって相場観を得る
  2. 会えるだけの企業に会って感触を掴みつつ、早めに最初の内定をもらう
  3. 既存の内定を交渉カードにして、より良い条件を他社から引き出す

 

結果的には、これがビタっとハマりました。

 

実際、どんな仕事/案件が待っていたか

「とりあえずやってみよう」で始めた就活、すぐに分かったのは以下のようなことでした。

 

評価されやすいのは過去の職歴の延長の仕事

当然の話ですが、市場で自分に高値がつくのは過去にやっていた仕事と同じ業界・職種の案件でした。具体的にはエンタープライズソフトウェア(特にSaaS分野)の営業職です。前職で日本法人の立ち上げを経験していたことから、日本での立ち上げフェーズにあるUSテック企業からの引き合いが特に多かったです。

前職でやっていた仕事よりも上のポジションで打診してもらうことが多く、市況が良くなっているのを感じました。

 

英語がアドバンテージになる仕事は意外と多い

MBA Gradsの給料を払える会社って基本的に外資になるので、外資専門の人材エージェント/エグゼクティブサーチを利用して就活することになります。するとそもそもエージェントの担当者が外国人なことが多くなります。

また外資である程度高いポジションだったり、日本の立ち上げフェーズだとプロセスに英語面接が入ることが多くなります。いくつかの会社では、面接がUS本社のCRO(Chief Revenue Officer)まで上がったり、課題を出されて1時間くらい英語でプレゼン&質疑応答をやらされたりしました。こういう状況になると、MBA受験とMBA生活で鍛えられた英語コミュニケーションがバツグンに生きてきます。

 

MBA自体が評価されるかどうかはケースバイケース

面談時に「元の業界に戻る場合、MBAを取りにいっていた2年間は営業としてのブランクとしてしか見られませんよ」と言い放つエージェントもいました。

が、実際面接を受けにいくと、MBAを持っていることが僕の出自に信用を与えてくれていると感じる機会が複数ありました。特に、面接担当者が外国人の場合。相手がLondon Business SchoolのMBAを持っていて「あーIE!俺も受けようか迷ったんだよね」って話が盛り上がったり。(彼は僕を強く社内で推してくれました。最終的に就職を決めた会社のシドニーオフィスの社員です)

 

起業失敗ネタは、案外高評価

「日本帰ってきてからの半年間は何やってたの?」って聞かれたら正直に「起業しようと思ったんですが失敗しまして。子供もいるので、ちゃんと働かないとなと思って就職活動始めました」って伝えてたんですが、むしろポジティブに受け止めてもらえることが多かったように思います。「そりゃお金稼がないとね」って笑ってもらえたり「Entrepreneurshipがあるね」という言い方をしてもらえたり。ちゃんと面接プロセスも次に進めてもらえたし。

 

就活の結果はどうなったか

14社と話をして内定5件

幸い最初に面接した企業とその次からすぐに内定をもらえたため、その後は興味がなければ早めにプロセスを止めてもらうようにしていたものの、最終的に5件の内定を頂けました。一番面白そうだった企業とお仕事のオファーが一番いい条件、という形で終えることができ、上々と言っていいかなと思っています。

特に「SaaSが売れるエンタープライズ営業 x 外国人がストレスを感じないレベルで英語ができる」という組み合わせが本当に少ないみたいで、外国人との英語面接になると通過率100%でした。

 

どういうわけだか、前職から年収パッケージが大幅アップ

前職のOTE(Over Target Earnings: 年間ノルマ100%達成時のモデル年収)の1.5倍くらいで最初のオファーが出て、最終的に出たベストのオファーはOTEベースで前職の2倍弱、ベースサラリーだけで見ると2倍超という形になりました。(ベース:コミッションの比率が変わったため)

元々、起業するつもりだったから元の業界に戻るつもりはなかったのに、MBA終えて帰ってきてみたら大幅キャリアアップという不思議な結果になりました。焼け太り感がある。

 

話した中で一番アーリーステージの企業で働くことに

日本法人を登記した直後の、カリフォルニアに本社があるエンタープライズソフトウェアの会社に就職します。3/2(月)が初日の予定。面接プロセスで日本人と一人も話してないからよくわからないんだけど、日本法人は現状、社員1人か2人の様子。日本支社長不在で、上司は香港在住のオーストラリア人。

クビにならない限りは、3年くらいは楽しく働けるかなーと思っています。

 

就活を終えて、どんな気持ちか

本来は起業家として頑張ってたはずの時期なのにこういう結果になり不本意という気持ちと、高く評価してもらい家族を養える年収と面白そうな仕事が目の前にあってハッピーという気持ちが同居しています。あと、起業に当たって応援してくれた多くの方々に対して、就職という無難な結果に落ち着いてしまって申し訳ないなという気持ちもあります。

まあ、言うて5月には3人の子供の父親になるわけなので、「思いっきりコケても、案外死なずになんとかなるもんだな」 と思えてるのは大変ありがたいことだなと思います。

まずは次の仕事で成果出して体勢を立て直して、また次のチャレンジに向かっていけたらと思います。

 

もっと具体的な話が聞きたい場合はご連絡ください

ここでは、あんまり細かい話をすると冗長になるので大まかな話だけしてますが、特に隠してるわけではないのでご希望があれば個別に共有します。これから挑戦しようとしている人の背中を押せたらすごく嬉しい。

僕のCVだとか、おすすめのエージェント(および担当者)とかどんな企業を受けたのかとか採用プロセスはどうだったかとか、プロセスの中で出された課題と僕がやったプレゼンの資料とか、必要に応じそういうのも共有できます。

僕のツイッターアカウント宛に連絡いただくか、keidgi@gmail.comにメールで、気軽にご連絡ください。

 

引き続き、よろしくお願いいたします。

 

P.S. トミオ就職記念&初任給祝いイベントやりたいので、相談させてください。