辺境系キャリアのレシピ 〜新卒即無職→海外就職→スペインMBA→?〜

市川慶です。3児の父。IE Business School MBA。外資ITセールスという名の傭兵稼業10年目。日本の20代30代の年収を倍増させるべく、ルーキー傭兵のリクルーティングと練兵をライフワークにしています。気軽にご相談どうぞ。

ビジネススクールに進学してMBAを取得する、ということの価値について思うこと

僕はIE Business Schoolというスペインの学校に在籍していて、入学してかれこれ10ヶ月強になる。MBAと「Master in Business Analytics and Big Data」という修士号のDual Degree Programのため、既にMBA部分は終了し、通称「MBD(BDはBig Dataの略)」と呼ばれる2つ目の修士プログラムに在籍している。MBAは既に卒業試験まで終わっているので、MBDが終了するまでの「仮免」状態だ。

 

自分が1,000万円の学費を投じてやってきた「MBAという学び場」について感じたことを、今日はいくつか書いてみたいと思う。まあ大体は他所で言われてる内容と同じになると思うんだけど、もし気が向いたら読んでみてほしい。

 

正直、勉強の効率は悪い

「講義」全然集中できん

「クラスルームでの講義」という教育方法は、非常に効率が悪い。僕のように注意力が散漫で英語力も中途半端な学生の場合、先生の言ってることがそもそも全く入ってこない。今時、オンラインで有名大学の講義がいくらでも視聴でき、速度変更も巻き戻しも何度も聞いたりすることもできるのに、この前時代的な教育方法が今も残っている理由が、どうも理解できずにいる。強制的に出席させる、座らせるということが大きいのかなあ。

 ディスカッション?勝手にやっといて

「多種多様なバックグラウンドを持った学生同士の議論が熱い」みたいなことをMBAの価値のように言う人がいるけど、それについても特に価値を感じない。出身国や宗教等のバックグラウンドによって発言に差異が出るようなことは極わずかで、基本的に皆、豊かな家庭に生まれた秀才たちである。違いなんてどうってことはない。僕自身は手を上げるの面倒なのでほとんど発言しなかった。

そもそも、知識の吸収速度は日本語より格段に落ちる 

特に日本人の場合、ハードスキルを身に付けたいならビジネス・ブレークスルーとかグロービスの方がこってり教えてくれると思うし、語学のハードルがない分吸収も早いはず。

 

Diversityに関しては、友達作りの環境としてはめちゃいい 

Diversity、勉強に関してそんな意味あるか?

これも、上記と共通する部分がある。Diversity(多様性)を売りにする学校の関係者が口々に発する「様々な国籍・業界の同級生と切磋琢磨することで学びがある」みたいなやつは、そこそこ真理である。実際グループワークするとそれぞれの「当たり前の基準」が違うからミーティングの開始時間がめちゃズレて衝突が起こったりするし、成績へのスタンスによってメンバーの力の入れ具合が大きく異なったりする。だが、それが「MBA最大の(ないしは大きな)学びだ」と言えるかというと割と疑問が残る。「1,000万も投じてやることか?」と。

 ここでできる友達と卒業生ネットワークには確かな価値がある

特にフルタイムのMBAプログラムに通う場合、「人生の大事なタイミングの1〜2年を、スペインの片田舎(失礼)で過ごす」という選択をした人間同士である。僕の周りの日本人を見てると「他の学校にも余裕で合格する優秀さがありながら、この学校にフィットを感じて来た」という人が多く、そうた人々の結びつきは強い。前回のアフリカ滞在の記事でも書いたけど「連絡したら気軽に会ってくれて、支援の手を差し伸べてくれる」人々のネットワークが世界中にできるのはとても大きい。

僕がクラスで特に仲がいいのは、前回「就職したくないでござる。」のエントリーでも紹介した中退していったインド人の友人(彼とは今でも時折メッセージや電話している)や、中米の最貧国ニカラグアの超資産家の息子。普通に生活してて知り合わなそうな人と、「MBAの同級生だから」というだけで一発で繋がる関係を築けるのはとても面白い。

 

将来の進路選択に与える影響について

起業に関しては、MBAを選んでる時点で…

そもそもMBA取りにきてる時点で孫正義とかイーロン・マスクみたいな突き抜けるタイプの起業家じゃなくて秀才タイプなわけなので、そういう人が起業に憧れて進学しても「うるせえ勝手にやれや」という話になりがちだとは思う。

ただ起業へのハードルを下げる効果はある

僕と同じチームでStart-up Labに出場してた中村さんの体験記IEのページにあるけど、こんな感じで、学生という自由な時間を使って安全な環境でプロセスを試せる環境はある。僕にとっては座学の本科よりも断然楽しい時間で「やっぱお利口さんがやることを自分がやるのは無理だなあ。こっちのほうがおもしろいなあ」と体感させてくれたという意味でもありがたかった。

肩書きには価値がある。特にグローバル企業就職を目指す人にとっては…

卒業後は「MBAホルダー」という肩書きを手に入れるわけだし、また「MBAスクールでの1年間とはどういうものか」というのを経験した人間になっているわけなので、この肩書きを上記の人脈と組み合わせて使うかが鍵になる。

僕みたいに大きな会社に就職する気が一切ない人間には意味がないけど、たとえば欧州やアメリカに本社がある会社の本社採用狙うような人には、MBAの価値はすごく大きい、はず。以下ツイートはそれを実践した人の意見。

 

 

 まとめ

ということで「過大な期待をしても叶うかどうかわからないけど、いいところはあるよ」というのが僕からの意見でした。巷で言われてる「MBAの価値」が本当かどうかには若干懐疑的だけど、来たこと自体に関してはまったく後悔してない。

さて、次のステップについて

幸い、前職が傭兵的な「外資ソフトウェア会社の営業」という仕事で成績もよかったので、次に就く仕事がないということはありえない。ただ「自分の情熱を注げる仕事かどうか」という部分については、依然完璧な回答が見つからず模索中である。

卒業時には、いい報告ができるように精一杯足掻いていきたい。