辺境系キャリアのレシピ 〜新卒即無職→海外就職→スペインMBA→?〜

市川慶です。3児の父。IE Business School MBA。外資ITセールスという名の傭兵稼業10年目。日本の20代30代の年収を倍増させるべく、ルーキー傭兵のリクルーティングと練兵をライフワークにしています。気軽にご相談どうぞ。

衰退国では自分で自分の身を守るしかないと思う話

9月に『誰もが余裕を失うこの国で、分断はもう埋まらないと思う話』というエントリーを書いて2ヶ月半が過ぎたが、確信は揺るがないものになるばかりである。

 

※ 本エントリーは、年収500万円までくらいの、30歳±6歳くらいの人を対象に書いてます。
 既にバリバリ稼いでる人はあんまり得るものないかも。ここで読むのやめてもいいよ。

 

『分断』は国の衰退の副産物である

国民を守れないくらいに『国』が衰えてきている。

従来、日本という国は「現役世代が懸命に働き税金を納め、それを国が高齢者や子供等の弱者に再分配する」仕組みとして機能してきた。少なくとも、僕はそう理解してきた。

 

しかし、その仕組みを今後も長期にわたって維持することは不可能である。ここ1〜2週間だけを振り返っても、政府が『高齢者向けの福祉』と『子育て世代向けの補助』の両方を削る検討を進めているというニュースが話題になった。

 

www.yomiuri.co.jp

www.yomiuri.co.jp

 

一番の理由は、人間が、国が元々想定していたより長生きするようになってしまったこと。収入がなく、介護や医療にお金のかかる高齢者を支えるためのコストが膨らみ続けるため、システムへの負荷がどんどん大きくなっているのである。そこに、少子化による現役世代の減少が追い討ちをかける。長寿化と高齢者を支えるお金の関係は、以下のブログがとっつきやすかったのでおすすめ。

 

crossacross.org

 

国が守ってくれないので、『分断』が生まれる

国からのメッセージはクリアだ。「システムはもう維持できないから、あとは自分たちで頑張ってね」だ。

 

みんなと同じようにやっていれば「普通の生活」を送れる時代は終わった。正社員として長期にわたり企業に勤め、どこかのタイミングで結婚し子供を作り育て上げ、定年退職した後は死ぬまで年金で暮らす、そんな人生は僕らの前には待っていない。

 

『自分で頑張る』ことでどうにかできる人間と、頑張ってもどうにもできなかった人間やどうにかしようと思えない人間、その間に生まれるのが『分断』である。

 

大事なのはとにかくサバイブすること

自分の身は自分で守るしかない

国は匙を投げた。ここからの数十年、自分で自分の身を守って生きていかなくてはならない。もし結婚して配偶者や子供を持つ場合には、自分だけでなく家族も守っていかないといけないし、大変だ。

 

嘆いていてもしょうがない。どうにかするしかないのだから、どうにかするしかないのだ。でなければ、この世を恨んだまま年老いて貧困のまま死ぬだけである。

 

分断が避けられないのであれば、なんとか分断の「あっち側」へこぼれ落ちなくてすむ工夫をしなくてはいけない。

 

そうは言っても、道は険しい。過去数十年にわたり、日本人男性の平均年収は横ばいである。(女性は上がっている)その間に消費税は上がっているし、各種控除が消え年金負担や社会保険料も増えているので実質所得は減っている。

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グラフ拝借元:

https://financial-field.com/living/2019/01/07/entry-32426

 

ひとまず安心できるライン、年収600万円

そんな中で「自分の身を守れる」カネっていくらくらいなのだろうか。今回は、年収の観点から考えてみたい。

 

転職サイトの調査によれば、20代の平均年収は348万円、30代の平均年収は444万円らしい。

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ソース:Duda

一人で暮らしていく前提であれば、たぶん平均年収くらい稼いでいればどうにかなるんじゃないだろうか。でも結婚して子供を持って、という人生を想定するなら、それでは心許ない。

 

だいたい、結婚できる可能性からして、年収と密接な相関がある。特に男性の場合は。低年収だと、結婚したいと思っても生涯未婚で終わる可能性が高くなる。以下のグラフを見ると、年収500万円、600万円あたりまでは未婚率のグラフがほぼ真っ直ぐに下がっていく。

男性であれば、30代半ばまでに年収600万円あると、結婚にあたって年収がネックにならないと言えそうだ。

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ソース:日経DUAL

 

年収を増やすには、結局本業を頑張るしかない

収入を増やすための選択肢の多くは実現可能性と再現性に乏しい

さて、どうやって年収600万を実現するか。そのためのルートは、実は様々ある。しかし、そのうちの多くは、実現可能性、再現性といったことを考えると現実的には選びづらい。

 

起業:当たれば大きい。ただしハイリスク。

投資:当たれば大きい。ただし大きく稼ぐには(特に資金が少ないと)ハイリスク。

難関資格取得:合格できるかどうかがまず賭けだし、時間がかかる。

宝くじ:当たればまあまあ大きい。当たらない。

騙す、盗む:言うまでもなくハイリスク。

相続:基本的には生まれ直すしかない。

結婚:特に男性の場合、金持ち女性と結婚してもあまり旨みはない。

 

最近流行りの『副業』は、期待も高いが課題が多い

本業の収入を維持したまま追加の収入を得られる「副業」への期待は高い。とはいえ、実現可能性には疑問符がつくのが実際だろう。

副業で本業以外に稼げるのって副業で水商売をやる女性やくらいで、多くは時給で考えたら本業よりも低い金額で働くことになるだろう。自分で仕事を取ってこようと思うと営業活動をしないといけないので、多くの人は時給制のアルバイトをすることになるか、YouTubeやブログなど収益の期待値の低い活動をすることになる。

『副業で鬼のように稼いでいずれ本業に』できたらいいね。でも難しそうだね。

 

普通の人は、サラリーマンとして本業を頑張るのが結局一番効率がいい

そんなことを考え合わせると、結局は本業で成果を出して年収を上げていくのが最も確実に成果を期待できる方法だということになる。

 

まず考えるのは今働いている組織での出世だろう。だが「でも今の職場では、30代で年収600万円なんて辿り着かないよ!」という人もいるだろう。それなら、転職だ。ただの転職でなく、自分の市場価値を高める努力をした上での「年収を上げる転職」。サラリーマンとしてダウンサイドを抑えながら、毎月口座に入ってくる金を増やす。美味しい。

 

そんなわけで、なんだかんだ「目の前の仕事を頑張りつつ、力を蓄えてより稼げる仕事にシフトしていく」王道のキャリア戦略こそが、普通の人が自分の身を守るために目指すものだというのが僕の結論である。

 

次回のエントリーでは、僕の思う「再現性の高い転職戦略」について書いてみたいと思う。