「外資IT営業」という現代の傭兵稼業のすゝめ
ご案内(2023/8/10追記):
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僕が27歳で『外資IT』と呼ばれる業界に入ってからおよそ10年が経過した。2020年2月に、今の職場への入社を決めたときのブログエントリーを読んでくださった方もいるのではないかと思う。
この10年で、スペインにMBAを取りにいったり、起業するぞって走り出してすぐずっこけたりしたけど、結婚し、千葉に家を建て、車を持ち、3人の子供を授かった。莫大な資産は築けていないけど、住宅ローン以外に借金はない。今日は「外資って結構悪くないよ、少なくともIT業界に関しては」という話をしたいと思う。後半には、トミオが開始する外資転職プログラムのモニター募集もあるぞ。
- 「外資IT企業」で働く人間の8割は営業の仕事をしている
- 「外資IT営業」は、戦場を渡り歩く現代の傭兵だ
- そう、外資IT営業はカネのために働く
- 外資IT営業として働くリスクは、意外と小さい
- 君も外資IT傭兵にならないか?まずはトミオとZoom面談(無料)だ
- トミオの打算
- 最後に
「外資IT企業」で働く人間の8割は営業の仕事をしている
「外資IT企業の日本法人で働いている」と聞いたら、業界にそれほど馴染みのない人は技術職をイメージするのではないだろうか。プログラマーとか、データサイエンティストとか。しかし中を覗くと、そんな人間はほとんどいない。従業員の大多数は営業だ。「外資系のIT企業で働いてます」って言われたら「あ、営業してる人なんだな」と思ってもらって問題ないくらいにみんな営業で飯を食っている。
なぜか。製品開発を日本で行っていないからだ。開発をしていないから、日本にはエンジニアもデザイナーも必要ない。商材がクラウドサービスやソフトウェアであればオンラインで完結するから、店舗も在庫もサプライチェーンも考えなくていい。マーケティングだって、戦略は本社で考えるから、日本にはそれを実行する人間がほんの少しいればいい。
そんなわけで、『外資IT企業』の日本法人は自然と営業機能に特化したものになる。『GAFAM』と呼ばれるGoogle, Apple, Facebook, Amazon, Microsoftであろうと例外ではない。実店舗を持つAppleや倉庫スタッフの多いAmazonはちょっと違うと思うが、残り3社の日本法人社員の8割は営業関連の仕事をしていると思って差し支えないだろう。GAFAMで8割なのだから、日本進出して間もない企業なんか、ほぼ100%が営業要員である。
そもそも「外資IT企業の日本法人」という呼称が紛らわしい。『GAFAM日本営業所』とでも呼んだほうが実態を正確に表現していると言えるだろう。
いや、悪く言いたいわけではない。「そういうもんですよ」という前提を共有したいのだ。
「外資IT営業」は、戦場を渡り歩く現代の傭兵だ
僕の知る限り、外資IT企業の日本法人で働く人間は一般的に以下のような特徴を持っている。
僕は自分の仕事を人に説明するときにかつて『営業ソルジャー』と言っていたんだけど、今思うとソルジャーという喩え方は適切ではなかった。傭兵と呼ぶほうがより実情に近い。ソルジャーが持つ「愛国心」や「正義のための戦い」なんて感覚はなく、カネの匂いがする場所を渡り歩いて誰彼かまわず戦いを繰り広げるのが外資IT営業だからだ。競合する日系企業を殲滅する戦いに参加することだって日常茶飯事だ。
参考までに、以下がWikipediaによる傭兵の定義だ。
傭兵(ようへい、英: mercenary)は、金銭などの利益により雇われ、直接に利害関係の無い戦争に参加する兵またはその集団である
うん、腹落ち感がすごい。
そう、外資IT営業はカネのために働く
なぜ日本人が外資の手先のようなことをするのかといえば、稼げるからだ。かっこいいからとか、最先端のテクノロジーを扱えるからとか、働き方の自由度が高いからとか言われることがあるし、それらは部分的に事実だが、全部オマケだ。
綺麗事はやめよう。そして大きな声でもう一度言おう。
稼げるから、外資IT企業で働くのだ。
まず、一般的な20代なら外資に転職した時点で年収が1.5倍くらいになる。成果を出し続ければ、パッケージ年収(ベースサラリーとコミッションの合計)が毎年100万円以上のペースで上がる。それに加えて、ストックオプションや、RSUと呼ばれる現物株を会社がくれたりするので、そうなると数百万円分の年収上乗せがあり得る。僕は営業として飛び抜けて優秀なわけではないが、外資IT業界に転職して3年目で年収が1000万円を超え、(留学や起業をしていた時期を除き)それから一度も下回っていない。
僕も一時は、外資IT営業のこの「シンプルすぎる真実」から目を背けようとした。理想とか理念とかミッションとか、そういったものを探究できないかと考えた。でも最近は考えを改めた。
いいじゃないか。世の中には身を粉にして働いてもそれほど稼げない仕事がある。そんな中、少なくとも外資IT営業は稼げるんだから。
外資IT営業として働くリスクは、意外と小さい
甘い話には、大体裏がある。外資は給料がいいとは言っても、そのぶん大変なんでしょう?
これに対する答えはイエスだ。常に成果を求められるし、成果がついてこないと会社や上司から容赦なくプレッシャーがかかる。
僕自身もこの業界に10年近くいる間にアップダウンがあった。将来、また苦しい状況に追い込まれることもあると思う。しかし、割とどうにかなる気がしている。それは外資IT業界特有の以下のような事情による。
自分の時間を自分でコントロールできる
外資の営業は、基本的に成果で評価される。始業時間や終業時間は就業規則には書いてあるが誰も気にしていない。給与は「ベースサラリー(基本給)」と「コミッション(歩合給)」の二本立て。残業代は雇用契約書には記載があるが支払われたことがないし、やはり誰も気に留めていない。
与えられた時間をどう使って成果を上げるかは各人に一任されている。リモートワークの採用率も高い。なお僕は昨年の3月からずっと「強制フルリモートワーク」だ。だから極端な話、「入社する会社を間違えた」と思ったら日中に転職活動し放題だ。
日本で働く正社員は守られており、外資企業といえども簡単には解雇できない
外資企業というと簡単に社員をクビにするイメージがあるが、日本では滅多にそういうことは起こらない。会社はパフォーマンスが悪い社員に対しても数ヶ月は改善のための猶予期間を与えないといけないし、退職時も、退職勧奨とともに給料数ヶ月分の「退職パッケージ」を出すことが多い。
ちなみに僕がシンガポールで働いていたときは、隣の島で働いていた韓国担当チームが即日の契約解除を通達されドナドナされていった。シンガポールは、1ヶ月分の給料を払えばすぐに雇用契約を解除することができるからだ。
外資IT営業はスキルがポータブルで、かつ常に新たな企業の参入がある
いくらクビになりづらいと言っても、成果が上がらない状態で会社に在籍し続けるのはしんどい。自分自身に問題がなくても、製品が市場に合わないこともあるし、後から市場に参入した競合に強烈に捲られるという事態も起こりえる。
そんなときも、営業は専門職なので横のスライドがしやすい。「外資における営業のお作法」を身につけており、またたとえばSaaSのような専門性がある製品を売れる営業には根強い需要があるからだ。
特にシリコンバレーでは次々に新しいIT企業が生まれ、それらがグローバルな成長を求めて日本にやってくるので、新鮮な労働力が常に求められているのだ。
君も外資IT傭兵にならないか?まずはトミオとZoom面談(無料)だ
もし君が20代もしくは30代前半で、「これをやりたい!」という強い関心分野がなく、かつ現在の仕事を続けていくことに不満や不安を抱えているのであれば、外資IT業界への転職は検討する価値があると思う。決して楽な仕事ではないが、他の多くの仕事より稼げる確率が高いし、ポータブルな専門性が身につくので「いつでも転職できる」という自信が持てるようになる。
さて、「よし、外資IT企業に転職するぞ!」と君が決めたとする。
決めたはいいが、きっとたくさんの疑問が湧いてくるだろう。そして、それに答えてくれる情報源を見つけるのがとても難しいことに気づくだろう。
- 業界の構造はどうなっていて、どんな企業がどんな製品を提供しているのか?
- プリセールスって何?カスタマーサクセスって何をする人?
- どうやって求人を見つけ、応募すればいいのか?
- 自分の経歴はどう評価されるんだろうか?
- 英文履歴書を作らないといけないって聞いたけど?
- 転職するのに英語力はどの程度必要?
僕のところには以前からちょくちょく「外資で働きたい」という若者からの相談が届いていたので、この機会に『外資IT転職 検討の方向性と取り組み方のコツ』という資料を作成した。情報収集から内定取得、オファーの受諾に至るまでの一連のプロセスとロードマップも整理してある。
メール(kichikawa@challengerbase.co.jp)かツイッターで連絡をもらえたら、30分のZoom面談を設定してその資料をベースに無料のガイダンスを提供させてもらう。LinkedInから連絡してもらっても大丈夫だ。もし気が向いたら、その後プログラムのモニターとしても協力してもらえると嬉しい。まずは気軽に連絡してほしい。
トミオの打算
なぜ、トミオは自分のオフの時間を割いて無料相談を行うのか。もちろん、打算はある。
第一に、20代、30代の年収を上げることが、日本を元気にしていくことにつながると信じているからだ。高齢化と少子化のダブルパンチに、コロナのトリプルパンチで日本の未来は暗いように思える。でも、正しい方法で頑張れば、短期間で年収を大きく上げられる「外資IT転職」というちょっと苦いけどたしかに効果のある薬が存在する。僕はその方法を知っている。可能性を持つ人たちのサポートができたら嬉しい。
それから、もし僕が支援した人から転職成功の再現性を担保できるようなら、正式に人材エージェントとして登録して事業を行うことを検討している。そうすると、ハッピーになる人を生み出しながら僕も収益を上げられるので、事業としての継続性が生まれる。
今はまだパイロットフェーズなので、トミオの時間を使った100%持ち出しのプロジェクトだ。でも、今、これに取り組む価値があると思っている。
11/29追記:
このプログラムを開始して約半年が経過した。その間、70人ほどと面談を行い、本気で転職したい人には継続的に支援を提供してきた。結果として、5人が外資系企業に既に転職成功した。全員、前職は日系企業で初めての外資だ。これから出会う人たちの活躍も楽しみにしている。
2022/4/2追記:
この記事にある通り、2020年3月1日付で外資ITチャレンジャーを応援するための会社、チャレンジャーベース株式会社を開業した。一緒に頑張って結果を出し、後輩に希望を作ってくれた多くのチャレンジャーたちに感謝している。もっと社会に希望を作り出せるよう、チャレンジャーの皆と頑張っていきたい。
最後に
言いたいことを詰め込んだところ、4,000字を超えていた。
長々と書いてしまったが、とにかく、僕は外資IT営業という仕事は悪くないと思っているし、日本を元気にしていくための手段になり得ると思っている。一緒に頑張ってみようかな、と思う人からの連絡を心待ちにしている。
P.S.
「傭兵ってどんな感じだっけ?」と思った人もいるかもしれない。そんな人は、ゴールデンウィークもまだ1日半あるので、佐藤賢一の『傭兵ピエール』を読んでみてほしい。生々しいが、逞しく生きる傭兵の生き様を感じることができるぞ。