辺境系キャリアのレシピ 〜新卒即無職→海外就職→スペインMBA→?〜

市川慶です。3児の父。IE Business School MBA。外資ITセールスという名の傭兵稼業10年目。日本の20代30代の年収を倍増させるべく、ルーキー傭兵のリクルーティングと練兵をライフワークにしています。気軽にご相談どうぞ。

外資IT営業転職と英語、業界外からのエントリー戦略について

3週間前に『「外資IT営業」という現代の傭兵稼業のすゝめ』というエントリーを書いて以来、連絡をくれた20代〜30代の40人ほどとZoomでお話しした。何人かとは継続的なお手伝いの約束をして、CV(英文履歴書)作りや企業への応募準備を進めている。(皆やる気があり、優秀。支援をしていて楽しい)

 

tomyuo.hatenablog.com

 

面談の中で多く聞かれる質問が「外資ITで働くのに、どのくらい英語ができる必要があるのか」「現在まだ英語は話せないが、それでも外資への転職は可能か」というものだ。

 

僕からの回答をまとめると「英語が苦手でも外資転職は可能。ただし君が若さとポテンシャルだけを武器に業界に挑戦するのであれば、英語はできたほうがいい」となる。今日は、その理由を順を追って説明したい。

 

 

大前提:外資IT営業に求められるのは完璧な英語ではなく、完璧な日本語

どうして外資IT企業は、日系企業が支払う賃金相場の1.5倍〜2倍もの給料を支払って日本人営業を雇いたいと思うのだろうか?答えは、日本マーケットの特徴にある。

 

商談相手の99%は日本人

君が外資IT企業に入社した場合、英語で商談をする機会はほとんどないと考えて差し支えない。なぜなら君が担当するお客さんは日本の企業だからだ。英語での商談がまったくないとは言わない。外資の日本ブランチや外国人が経営する日本企業がカウンターパートになる場合はある。でも、割合としてはせいぜい、全体の1〜2%といったところではないだろうか。

 

そんな事情なので、日本人営業に「ネイティブレベルの英語力」が求められることは絶対にない。一方でネイティブレベルの日本語力は必須だ。

 

極度にハイコンテクストな日本人のコミュニケーション

見込み客を訪問しプレゼンしたところ、先方の担当者が「使えそうなソリューションですね。持ち帰って部内で検討します。」と答えた。ミーティング後、チームの日本人たちが首を傾げている横で、オーストラリア人の上司が小躍りしている。「やったぜ!めっちゃ気に入ってたな!来月には受注できるんじゃないか?」無理ですボス…日本はそういう国じゃないんスよ…

これは、僕自身の経験である。

 

エリン・メイヤーというフランスのビジネススクールの教授が世界各国のコミュニケーション特性を指標化しているんだけど、日本はその中で最右翼「シビれるくらいにハイコンテクスト」に位置する。

 

相手の言葉をそのまま信じたらコミュニケーションにならない。背景や意図を汲み取って、先回りして動かないといけない。そんな文化の中で商談を前に進めていくことは、日本語ネイティブにしかできないと言っていい。

f:id:tomyuo:20210522091400p:plain

参照元:エリン・メイヤー『異文化理解力

さて、それほど日本語力が大事なことはわかった。英語はいったいいつ必要になるのだろうか?

 

英語は必須ではないが役に立つ

小さな組織ほど、社内コミュニケーションに英語が必要

正直、君が日本法人だけで社員数500人を超えるような大きな企業を目指すのであれば、おそらく英語は必要ない。君の上司は日本人だろうし、営業資料から教育マテリアルに至るまで、必要なリソースも全部日本語化されている。現にSalesforceAmazonは、リクルートやインテリジェンスなどの日系エージェントを通じて採用を行なっている。

 

しかし、これが小さな組織となると話が変わってくる。日本法人に十分な質的・人的リソースがないため、必要な情報を本社やアジア太平洋地域の本部(シンガポールであることが多い)に取りにいかなくてはいけない。人事や経理も、そもそも日本にいないんだから本社と英語で話すしかない。時にはアメリカ人との電話会議も必要になるし、その中で技術的な課題を英語で説明しなくてはいけないような場面も出てくるだろう。

 

また、そういった小規模外資起業の案件を取り扱っているエージェントが外国人ばかりなので、応募にたどり着く前に英語で振り落とされる候補者が多いという現実もある。

 

小さな組織はまず研修から英語、直属上司が外国人の場合も

僕は2013年にTableau Softwareという会社の日本法人に入社したんだけど、このとき、日本法人の社員は僕を入れて3人。僕は『APAC Commercial Sales』という部門に所属することになった。チームには中国、インド、オーストラリアなど各国の担当者が所属しており、直属の上司はシアトルの本社からシンガポールに出向していたアメリカ人。入社初日からシアトルに呼び出され、シアトル本社で3週間、その後シンガポールで2週間、みっちり研修を受けた。

その後何度か上司が変わったが皆外国人で、その状況は日本法人の社員が増え日本人のマネージャーが着任するまで続いた。3年半ほどだっただろうか。

 

こんな環境職場だと、人を採用するときの条件に「英語(特に会話)ができること」が入ってくる。僕の所感では、英語が必須なのは日本法人の規模が50人未満の組織だ。

 

英語ができる日本人は少ない

君が思っている以上に、英語ができる日本人は少ない。英語ができる人間が少ない上に「英語ができて、なおかつ営業もできる人間」となるとさらに限られる。

英語ができるとコミュニケーションの摩擦が減るため、海外の同僚から重宝されるし、日本の同僚たちからは頼られる。まさに「英語屋」だが、少なくとも自分のポジションを確保できるのだ。

 

 弱者の外資IT転職戦略

さて、ここから先が、僕がこの記事で一番伝えたいことだ。

 

君の転職ライバルはどこにいるのか

まずは下の4象限チャートを見てほしい。

f:id:tomyuo:20210531085807p:plain



縦軸に営業としての実績を、横軸に英語スキルを取って、それぞれの象限に名前をつけたものだ。当然、営業として実績があり、英語もできる人間が最も価値が高い。彼らこそがスターだと言えるだろう。一方で「営業力なら自信があります!」という歴戦の猛者もいる。「英語力はあるけど営業は素人です」という場合は上でも登場した英語屋だろう。営業としての実績もなく、英語力も未熟な初期装備状態はひよっ子と言って差し支えないだろう。

 

市場にいる人材の分布をこのチャートにプロットしてみると、たぶんこんな感じ。

f:id:tomyuo:20210531085834p:plain

 

誰でも最初はど素人。「ひよっ子」からのスタートだ。でも市場を見渡すと「歴戦の猛者」は実は結構いる。なぜなら、営業は世の中で最も多くの人が従事している職業だからだ。

 

君が転職しようと思う場合、これらの「歴戦の猛者」たちを御して選考に勝ち残らなくてはならない。

 

外資が採用したい人物像とは

さて、今しがたのチャートに、採用時の合格ラインを追加するとこんな感じになる。

f:id:tomyuo:20210531085906p:plain


当然、営業としての実績と英語スキルを兼ね備えた人間が真っ先に採用される。

だがこの図で興味深いのは、営業力と英語力、どちらかに能力値を振り切った人間も採用されるということだ。(もちろん、どちらかがゼロではさすがにダメだろうが、そんな人間はそもそも応募を考えないだろう)

 

試しに想像してみてほしい。君が面接官だとして「英語は得意ではないですが、私はどんなノルマを与えられた場合も必ず200%達成してきました」という人間がやってきたとしたら君は彼/彼女を採用するだろうか?多くの人が、イエスと答えると思う。

 

弱者は英語を武器に戦え

もし君が「新卒で日系企業に入って数年働いた」という、外資転職の一歩目を踏み出す際に最もよくあるプロフィールの場合、不本意ながら「ひよっ子」のカテゴリからスタートしないといけないことが多いだろう。外資IT営業として採用されるためには、営業としての実績か英語スキルか、少なくともそのどちらかで抜きん出る必要がある。

 

f:id:tomyuo:20210531085928p:plain



 

僕のおすすめは、まず「英語での面接を通過できる程度まで英語を強化する」ことだ。英語スキルによる差別化という競争の緩い領域でライバルを蹴落とし、スター営業へのチケットを掴む戦略である。

f:id:tomyuo:20210531090155p:plain

 

1年やそこらで「営業として見栄えのいい経歴」を作り上げるのは非常に難しいが、たとえば1年間、毎日25分間のオンライン英会話を繰り返せば、外資の面接を突破できる程度の英語力は余裕で身につく。(英語力の鍛え方や英語面接対策については、また別のエントリーで紹介する)

 

英語によって自分を差別化することが、外資IT営業に潜り込むための最短距離なのだ。

 

外資IT営業への転職を考える人は、この考え方と戦略を頭に入れておいて損はないと思う。

 

外資IT転職相談 on Zoom/Google Meetやってます

そんなわけで、今回も最後に告知をさせてほしい。

 

前回の記事でも告知したが、外資IT業界で一旗揚げてやろうというチャレンジャーからの相談を受け付けている。具体的には、45分前後のビデオ会議を使った転職ガイダンスだ。

興味のある人は、以下のプロセスでトミオに連絡してほしい。

 

0. 応募条件

トミオのスケジュールがオーバーヒート気味のため、ハードルとしては低めだとは思っているが以下2点を応募の際の条件として設けさせてもらっている。

  • 外資IT業界への転職を検討していること(転職時期は問わないので、予定が2年後3年後でも問題なし)
  • TOEIC600点以上を保有、ないしはそれ相当の英語力があること(最初から喋れなくてもいいけど、さすがに英語がゼロだとサバイブできないので)

 

1. トミオにコンタクトする

以下のどれか、都合の良い方法でコンタクトしてくれ。

トミオへの連絡時に知らせてもらいたいことは以下3点だ。

  1. 本名フルネーム
  2. 現在している仕事(簡単で構わない)
  3. 新しい会社で働き始めたい時期(緊急の場合は特別対応を検討する)

2. トミオからの返信を待って日程調整する

トミオは、連絡をもらって24時間以内に空きスケジュールの情報とともに返信する。都合のつくところを選んでもらえたらと思う。24時間経っても返信がない場合、単に見落としている可能性が高いので「返事がねえぞコノヤロウ」とリマインドしてもらえるとありがたい。

3. 事前ヒアリングシートに回答し当日を待つ

日程が決まったら、トミオから事前ヒアリングシートのURLが共有されるのでなるべくすぐに記入をお願いしたい。このシートに書いてもらったことをベースに当日の流れを決めるので、全員に記入をお願いしている。

 

我こそはと思うチャレンジャーからの連絡を心待ちにしているぞ。みんなおいでよ外資IT。